箕作り弥平商伝記

箕作り弥平商伝記

箕作り弥平商伝記

 熊谷氏の作品は目につけば割と手を出しているので本作品も事前情報なしで読み始めた。
なものでタイトルを見ても前半を読んでいるうちも、”あぁ、いつも通り東北が舞台で箕作り職人さんの
話なんだなぁ”が、好きな男性と駆け落ちまでした姉が嫁ぎ先から戻ってきた頃から少しずつ雰囲気が変わってくる。
弥平さん個人の話ではなく当時の(今にも残る)大きな社会問題が取り上げられる。
弥平さんはそんな大きな問題とはわからずただ自分の思いを何とか遂げようと行動するんだけど。それが高所から説教ぶらずに
その当時の社会情勢を伝えることに成功した要因だと思う。熊谷氏の代表作”邂逅の森"で取り上げられたマタギもそうだが
本作品で取り上げられている箕作り職人さんたちも日本の近代化のある意味被害者なのだなぁと思うとやはりさみしい。