白疾風

白疾風

白疾風

以前読んだ北重人氏のデビュー作”夏の椿”*1が文庫化されているのに気がつき調べてみるといつの間にか新作が2作もでていた。これはそのうちの1作。
本作は過去の2作品より時代がさかのぼり、戦国時代末期から江戸開府時代が少しずつ落ち着き始めている。
元は忍びとして戦いに従事していたが戦国の世に嫌気がさしある谷に住み着き田を耕し新たに村を築いていく。
が、周りには少しずつ不穏な動きが出てくる。
もちろんクライマックスは最後の切った貼ったの対決シーンなのだが僕が興味深く読めたのは村が少しずつ開かれ
さらに江戸の消費経済に組み込まれている描写。プロフィールによると著者は元々長く建築・まちづくりに従事していたらしく
作家デビューをしたのは50歳になってから。このあたりの経験が本作にうまくいかされているように思う。
残りの最新作も読まなくては。