遣唐使船〜東アジアの中で

遣唐使船
遣唐使船
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1.14
東野 治之著
朝日新聞社 (1999.9)
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ISBN:4022597348
価格:\1,260
 自分の不勉強を棚に上げまくって言うと遣唐使といわれて一番最初に頭に浮かぶのは”白紙に戻す遣唐使→894年遣唐使廃止”ではないだろうか。後は阿倍仲麻呂や鑑真の名前が浮かぶぐらいだろうか。自分なりに少し原因を考えてみると遣唐使の内容は遣隋使とペアで教えられたところにあるように思う。なのでイメージは小野妹子が遣隋使で持参したという”日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや、云々。”という文言のイメージが大きい。もちろん政治、経済、文化あらゆる面で隋、唐に影響を受けたのはわかっているのだけれど。
 前置きが長くなったがそんな遣唐使のイメージががらっと本書で変わった。この時代の日本は本気で唐と対等あるいは自らこそが世界の中心であり唐(あるいは中国エリア)を辺境の地と呼んだ文書も残っているという。であるから帝(みかど)は本当に世界の中心であり世界で一番医大である必要があった。これでは唐の皇帝と並べることができない。なので遣唐使の帰国時返礼の使いが唐から来ると大変なことになる。日本の帝と唐の帝(の使い)、本来同時に二つあるはずのないものが並び挨拶を交わさなければならなくなったときどうするのか。あるいは遣唐使の大使に任命されながらサボタージュした大使の存在などこれまで知らなかった遣唐使の実像が見えてくる。
 読み終わるともっと詳しく知りたかったなぁという気持ちが残ってしまうがそれは選書というボリュームに限界があるからで僕が又別の本を読めばよいのだろうけれど・・・。とは言えなかなか面白い本でした。興味を持たれた方は是非。