煌浪の岸

煌浪の岸

煌浪の岸

先に読んだ”てけれっつのぱ”*1 *2に惹かれて別の本にも手を出してみる。本作品デビュー作ではないが一番最初に刊行された単行本。
時代は明治の末期。大陸との交易や鰊漁で賑わい活気あふれる商業都市小樽の色町にある高級料亭「煌浪亭」。幼いころから奉公し一度は嫁に行きながら夫と死に別れてまた戻ってきた仲居が主人公。
料亭に勤める芸妓、若女将、仲居仲間さまざま他人たちが絡んでくる。愛憎劇によるどろどろの人間関係とまでいかないがそれでもそれぞれのキャラクターに愛着が生まれてくる。20世紀に入り時代の最先端をいく商業都市の顔と江戸幕府瓦解からまだ50年足らずという近世と近代がない交ぜになった雰囲気がよく出ていると思う。
蜂谷涼さんのほかの作品も順番に手を出していくつもり。楽しみ楽しみ。