ひなのころ
id:chiseKこと粕谷知世さんの新作はこれまでとうってかわって舞台は日本。ある田舎を舞台にした風美(ふみ)という女の子が主人公の連作になっている。
先にうってかわってと書いたが何か不思議な雰囲気をかもし出すのはこれまでの作品と同様。以前の作品は遠い時代の遠い世界でまったく今の自分には創造できない舞台だったので却ってリアリティを感じられていた。本作品は舞台は日本国内で今よりもしかしたら少し前かもしれないがもちろん時代は現代。ということでこれまでの作品とは違った意味でのリアリティを感じさせる。
タイトルの”ひな”。連作第1作のタイトルは”雛の夜”となっておりもちろん雛祭りが舞台なのだが全体を通して読むと”雛”ではなく”鄙”であることがわかる。鄙のなんともいえない雰囲気はこれまでの作品に通じる不思議さを感じさせる。
リアリティを感じさせながらあわせて不思議さも感じさせる。風美だけでなく家族のその後も気になるがこの連作はおそらくこれで完結。
今からもう次回作が楽しみ。