官邸主導〜小泉純一郎の革命

官邸主導
官邸主導
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清水 真人著
日本経済新聞社 (2005.12)
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ISBN:4532351901
価格:\1,995

 副題には”小泉純一郎の革命”とあるが小泉政権だけを振り返る本ではない。”失われた十年”全体を振り返る。そして日本の権力構造が内閣と党の二重構造であり内閣と党の対立の中で日本が瞑想している姿を如実に明らかにしていく。
村山内閣での住専処理、橋本内閣での財政構造改革・省庁再編、小渕・森内閣での諮問会議重視の流れを経て小泉内閣が完全に党の政策決定能力をぶっこわし自身の考えで政権を運営していく過程がよくわかる。
 官邸主導が本当に正しいのかどうかは別にしてこの十年の権力抗争の流れがよくわかり大変興味深い本だった。また著者の主観が勝ちすぎるような気もするが与謝野馨竹中平蔵氏がいかに大きな役割を果たしたかと言うことも面白い。
 いずれにせよこの流れは簡単に引き戻せないしポスト小泉が誰になっても官邸主導の政権を受け継ぐことになるだろう。その時竹中・与謝野が果たした役割を果たせる人物がいるかどうか(もちろん留任という手もあるが)が結構政策運営に於いて大きな問題になりそう。
 一方で小泉首相の反田中角栄の根深さも思い知らされる。逆にこれだけ大きな思い(恨み?)がないと自民党はぶっつぶせないのかと思うと余計にポスト小泉という役割を果たせる人物が本当にいるのかちょっと首をかしげてしまう。