元禄いわし侍

元禄いわし侍
元禄いわし侍
ISBN:4062128624
価格:\1,890
posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.23
長辻象平
講談社 (2005.3)
通常24時間以内に発送します。
 なかなか楽しい本を読んだ。著者の長辻氏は元々科学ジャーナリストで釣魚史研究家としても第一人者である方。氏の著作を読んだのは本作が初めてなのだが元禄の好景気と文化の発達を支えたのは当時のいわし豊漁にあるという氏の持論を証明するために書かれた小説。
 元禄時代で浮かぶキーワードといえば上にも書いた好景気とそれが生んだ”元禄文化”、”生類憐みの令”それに”赤穂浪士討ち入り”が挙げられる。本作品は”いわし”を中心におきながら今挙げた3つのキーワードがきれいに絡み合う小説となっている。
登場人物一人一人も面白いがもう少しキャラクターが強くてもよかったかもと思わないでもないが、却って話がスムーズに進んでいいのかもしれない。
 本編のそこかしこに”トリビアが随所に描かれておりそれだけでも十分に面白いのだが、ただのトリビア小説にとどまらずきちんと娯楽小説として成立しているところがすごい。氏の小説としては2作目だそうで順序は逆になったがデビュー作も是非読んでみようと思う。