ダ・ヴィンチ・コード(ISBN:4047914746)

ダ・ヴィンチ・コード
越前 敏弥 / Brown Dan
角川書店 (2004.5)
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前作”悪魔と天使”を読んだ際、その感想を以下のように記した。*1

 絶対的な知識を持つ天才学者が事件の現場に残された痕跡をその知識と天啓とでも呼ぶべきひらめきで解決し、かつ超人的な肉体を駆使して数々の難関を乗り越えていく。こう書くとどこにでもありそうな冒険活劇。だがまさにその通り。(後略)

 本作はあまり”超人的な肉体を駆使する”シーンは見当たらないので、冒険活劇と呼べるかどうか微妙だが”知識と天啓とでも呼ぶべきひらめきで解決”するのは同じ。映画だと”超人的な肉体を駆使する”シーンがたくさん出てきそうな気もしますが。それが正しいかどうかは別にして教会やダ・ヴィンチに残されたさまざまな図像を解釈しながら謎を突き詰めていく流れは読んでいて真に明快。一歩間違えば”トンでも本”扱いされそうな解釈もあるのかもしれないがミステリー仕立てにした事でそれらの解釈はみなこの本の面白さを増す要素になってくれている。ミステリーとしては最後があっけないというかあっさりしているがエンターテインメントとしてはあまり深く考えず(考えようにもキリスト教に関する知識も図像解釈学も知識がないので、この図はこういう隠された意味があるんですよといわれると、ああそうなんですねと返すしかない)一気に読ませるだけの力を持っている。前作と同じ感想になってしまうが作品中で披露される薀蓄は薀蓄として受け入れながら娯楽作品として一気に読み通してしまうのが僕が思う正しい読み方だと思う。