公安警察スパイ養成所(ISBN:4796619372)

公安警察スパイ養成所(宝島社文庫)
島袋修

出版社 宝島社
発売日 2000.09
価格  ¥ 630(¥ 600)
ISBN  4796619372

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 残念ながら僕が読んだのは単行本版なので文庫で書き加えられた点がもしあったらその部分は未読のためあらかじめご了承ください。
以前読んだ公安警察の手口*1の中に、交通警察や刑事警察の内実についてその職務についた人が書いた本は何冊もあるが公安警察についてはほとんどなくそういった意味でも貴重な本と紹介されていたのが本書。著者は沖縄県出身で、東京の大学卒業後沖縄県警に就職、公安勤務に従事していた方。この本で興味深いのは著者自身の体験もさることながら、中野学校と呼ばれたスパイ養成所での講義内容と、公安警察が敵視していた日本共産党の対スパイ戦略の概要の両方が記されている点。一方であくまでも公安警察の一員であった著者が見た実態であってその組織の全容には到底及ばない点(逆に一組織員にその全貌が明らかになるようならこの本以外にも類書があってもおかしくないが)、また執筆のきっかけが自分の使っていたスパイ(本書ではA-6と呼ばれている)の自殺であったこともあり最後はやや感情的になっている嫌いの見受けられるところも残念。それにしても公安警察の実態を知るための貴重な本であることには変わりなく、興味のある方にはぜひ手にとってもらいたい本。