相撲部屋２４時おかみさん奮戦記(ISBN:4062722542)

相撲部屋２４時おかみさん奮戦記(講談社＋α新書)
	中沢嗣子〔著〕 出版社　講談社 発売日　2004.05 価格 　￥ 920（￥ 876） ISBN 　4062722542 ｂｋ１で詳しく見る

　元関脇富士櫻の中村親方のおかみさんが著者。タイトルから見ると、お相撲さんの生活実態を失敗談なども交えて面白おかしく書いた本を想像するかもしれない。（事実僕はそうだった）それがどうしてどうして、社会人入学した大学院の論文が元になっておりいたって真面目、とは言え本職の学者さんが書いたような硬い本でもなく、生真面目で一生懸命な執筆態度が文章全体から伝わってくる。
　前半でざっと大相撲の歴史を振り返った後、新弟子を含む下位力士の教育指導をどのように行うべきかを記す。スポーツ、相撲の本というよりむしろ教育論にジャンルすべき本かもしれない。どのような手法でアンケートをとったか不明だがその提出先が第三者ではなく相撲部屋の親方のおかみさん（アンケートは中村部屋の力士以外にもとっているようではあるが）なのでどれくらい本音が書かれているのか少々疑問に感じるところはある。若い力士たちにアンケートをとり今の若者の気質をそこに見出しながら以下に立派な力士、人間を育てていく確信する様がよくわかる。なお、中村部屋では学生相撲出身者を取らずあくまでも中卒の新弟子にこだわる一方、私立高校と提携して通信教育により弟子に高校入学させる試みもはじめている。このような試みもこのおかみさんの真面目な筆致を読めば納得できる話。平成15年からはじめたということなのでまだ卒業生は出ていないと思うがぜひ順調に進んでもらいたい。＜これはおかみさんではなくあくまでもお相撲さん本人の話になってしまうが