沖縄の島守〜内務官僚かく戦えり

沖縄の島守
沖縄の島守ISBN:4122047145
価格:\1,250
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田村 洋三著
中央公論新社 (2006.7)
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ISBN:4122047145
価格:\1,250
 単行本で読んだのだがリンクはおそらく手に入れやすいであろう文庫本に。
僕も図々しくコメントさせてもらった沖縄本エントリーで紹介されていた本。*1ようやく読み終わった。しかし最近本読めなさすぎ。
 太平洋戦争末期激戦の中尽力を尽くした島田叡沖縄県知事と荒井退造警察部長、二人の内務官僚を追った評伝。彼らの献身的な態度はもちろん素晴らしいのだがそれと対比して描かれる前任の沖縄県知事他地上戦が始まる前に沖縄から逃げてしまった人たちや沖縄民衆に本当の敵は米軍ではなく日本軍だと言わしめた軍の態度、もちろん沖縄を捨て石に使った軍上層部の記述を読むとたまらなくなる。では自分が同じ立場におかれたとしたら(本当に想像を絶する世界でとても想像などできないのだけれど)この二人と同じ態度でいられる自信が全くない。単に島田・荒井両氏他最後まで任務を遂行した人たちを賛美し批判されるべき人たちを批判するだけでは終われない。米軍が迫り民間人が待避した後、洞窟に残った日本兵をどうするか米兵に問われた人々が口々に”日本兵を殺せ”と叫んだというエピソード。日本軍の民間人への態度の裏返しだが人間の本音がストレートに現れるエピソードとして忘れられない。
 著者と彼の取材協力者が何とか実態を明らかにしようと緻密な取材を続ける態度にも頭が下がる。”平和の大切さ”や”戦争のむなしさ”といった簡単な言葉では言い表せないものがこの本にはあると思う。