偽りの大化改新
大化改新(645年に起こったのは単なる政変、事件でありその後の制度改革など実際には行われておらず大化改新の名前は本来ふさわしくない。単に乙巳の変と呼ぶべきとも書かれている。)と言えば小学校の社会の時間でも習う日本史上かなり有名な事件。この事件の登場人物を一人上げろといわれれば中大兄皇子、もう一人付け足すなら中臣鎌足さらにしつこくもう一人付け加えろと言われれば敵役の蘇我入鹿になるだろう。
にもかかわらずこの本は大化改新は中大兄皇子や中臣鎌足が首謀者ではないと主張する。但し蘇我入鹿が殺害され蘇我蝦夷が屋敷を焼いて死んでいったのは事実のよう。では乙巳の変の首謀者は誰だったのか。中大兄皇子や中臣鎌足はその中でどのような役割を果たしたのか。
この時代の史料といえば残念ながら多くは残っておらずどうしても日本書紀に頼ることになる。しかも本書の場合日本書紀の記述にも疑いの目を持って改めて解釈しなおしているのでどうしても推定に推定を重ねる形になってしまう。
ひとつの仮説としては面白い話しだし、興味深く読ませてもらったがどうしても自説に都合のいいように話を持って言っているように読めてしまって仕方が無い。
大変失礼な言い方だが読む人によっては”トンデモ本"扱いされるかもしれない。
もちろん史料の少ない時代であることは理解するがもう少し説得力ある傍証ががほしかった。