王道楽土の戦争

久しぶりに読む吉田司
リンクは上巻に該当する”戦前・戦中編”に貼ったが戦後編と2巻構成。
”王道楽土”とはもちろん満州国のキャッチフレーズ。
以前”阿片王〜満州の夜と霧”を読んで以来*1気になっている満州国渡船後日本のつながりについても一本の糸が見えたような気がする。
ただそこは吉田司の著作ですから一筋縄ではいかない。最初に出てくる3つのキーワードが何しろ人体骨格模型と沖縄戦の洞窟(ガマ)の跡、そして蒙古襲来絵詞ですから。
風が吹けば桶屋が儲かる方式で、確かに一つ一つ前後のキーワードはつながっているに違いないが連鎖が3つ4つと続いてふと気がつくと全然違う場所に立たされていることに気づく。東北と足が不自由でずっと寝たきりだった父親という自分の出自へのこだわりはちょっと強すぎて話の展開の強引さが余計目立ってしまうのが少し残念。いやその話のそれ方が面白いんですけど。