雲の都第2部〜時計台

雲の都 第2部
加賀乙彦
新潮社 (2005.9)
ISBN:4103308117
価格:\2,520
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 著者の自伝的大河小説。戦前の作者自身と言うより祖父を中心とした一族を描いた”永遠の都”を引き継ぎ本格的に自身が主人公となる雲の都の第2部。第1部”広場”は「血のメーデー」にいたるまでのセツルメント活動を中心に描かれていたが本作では少し時代をさかのぼり医学部生としての彼の活動と卒業し精神科医への道を歩み始めたところが描かれる。第1部では様々な人たちが交錯するドラマだったが本作では主人公対患者、主人公対指導教授、主人公対同僚と完全に主人公を中心にドラマが動く。その分話がシンプルというか劇的なところがあまりないような気もするがそれでもやはり面白い。特に対患者では実際に著者が東京拘置所などで出会った人たちをモデルにしているためよりリアルに感じる。
勿論主人公の活躍も魅力的なのだが他にも魅力的なキャラクターが多いので次作では彼らの活躍も期待したい。