白川 道
新潮社 (2004.10)
通常2〜3日以内に発送します。
久しぶりに
白川道氏の作品を読む。氏の作品で扱われるヤクザ達は昔の任侠ものに見られるような義理と人情でがんじがらめにされているわけではなく、とは言え全てをビジネスとクールに割り切れるわけでもないその辺りの微妙な現代のヤクザ像を描く。更に加えて純粋すぎる女性との恋愛を絡めてくるから一歩間違えば臭すぎて鼻つまみになりそうなところをその一歩手前で止めているところが氏の作品のすごいところ。（天国への階段はその一歩を超えてしまった気もしたがそれはそれで面白かったんだけど）ただ残念なのは本作のテーマとなっている”父親の存在”。父親の過去を隠し続けて最後の最後に明らかにしたんだけど当然主人公の動向も最後の最後には盛り上がっているわけで本作のテーマであるはずの父親の過去が付け足しのようになってしまったのが残念。ならばヤクザ稼業と女性との純愛に絞ってしまった方がよかったような気もする。
いや、面白く読ませてもらったんだけど
白川道氏は好きな分求める水準がついつい高くなってしまうので。
