忠臣蔵釣客伝

忠臣蔵釣客伝
忠臣蔵釣客伝
ISBN:406212131X
価格:\1,785
posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.28
長辻象平
講談社 (2003.12)
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 先日、”元禄いわし侍”*1を読んで興味を持ち作者長辻象平氏の小説デビュー作にあたる本作にもさっそく手を伸ばしてみた。時代は”元禄いわし侍と同じ元禄時代。タイトル通り忠臣蔵がテーマになるのだが狂言回しを担う津軽采女は実在の人物で日本最古の釣りの書物「何羨録」を著した方。といってもそれだけではない。実はこの方吉良上野介の娘婿に当たる方。と言うわけで一言で言うと吉良家側から見た忠臣蔵と言うことになる。吉良家側から見た忠臣蔵はきっといくつもこれまで書かれているだろうが僕は余り読んでいないので一概に言い切れないが、ここに出てくる赤穂家の浪人達は結構いやな奴が多い。忠臣蔵で嫌われ訳といえば上野介と決まっていたがなかなか新鮮。しかも単純に赤穂家対吉良家ではなくそこに幕府内部の権力闘争が絡んでくる。”元禄いわし侍”に比べると少ないがそこに当時の釣りが生類憐れみの令でどう扱われていたかなどのトリビア的な記述もそこかしこにちりばめられている。次の新作をいつ読めるのか全く分からないが今から楽しみ楽しみ。