元
東映会長
岡田茂氏が振り返る自伝。と言ってもご自身のことよりもむしろ長い映画人生で見聞きしてきたことをどんどん書いていく。スターと呼ばれた俳優と女優達の関係やここのところ僕が読む本にはちょくちょく出てくる
五島慶太ら財界人の話もどんどんでてくる。と言ってもいわゆる暴露本のような嫌らしさがないのはさすがと言うべきか。元は
日本経済新聞の
私の履歴書だったこともあり毎日の連載がそのままで細切れの文章だがそれが読みやすさにもつながってくる。いろんな役者さんのエピソードが数多く出てくるが特に独立プロを作って自分の元を離れていった
中村錦之助と
大川橋蔵にはこだわりがあったよう。独立プロなんて行ってもなかなかうまくいかない。独立してからの寂しさが随所に出てくる。最初に書いたとおりご自身のことについては余り記述が多くないのが残念だが
岡田茂氏の見た映画史という位置づけで読めばなかなか面白い。元は役者で現在
東映社長の
岡田裕介が息子さんであることは知っていましたがテレビでも活躍する評論家
高木美也子が長女とは知りませんでした。