吶喊

　相変わらず日本映画専門チャンネルで岡本喜八監督作品を見続ける。今日はこれ。この作品の感想を一口で書くと
”テルを演じる千波恵美子がかわいらしいなぁ”ってことなんだけどそれでは話が終わってしまうのでもう少し。　時代は明治0年（映画内テロップのまま表記）、”戊辰の戦いは薩長雄藩の会津への憎しみから始まり、奥羽戦争は奥羽列藩の世良参謀への怒りから始まった。”という岡本監督の歴史観にふさわしい時代背景が語られて本編に入る。但し伊藤敏孝演じる主人公千太にはそんな難しいことは関係ない。”それ、おもしれぇべ”がキーワード。このキーワードに従い、岡田裕介演じる万次郎と敵味方ひっついたり別れたりしながら只自分の思うとおりに行動していく。歴史ドラマとしてみるのなら官軍側会津側の武士の動きが重要なのであるが前半にそのいい加減さ、頼りなさを明らかにしてしまい後半はほとんどストーリーの柱からはずれてしまう。独立愚連隊シリーズにも共通する岡本監督の歴史観が現れている。そう言うこ難しい理屈は抜きにして日本ATGの一本としてこの映画を見ても伊藤敏孝・岡田裕介を中心とした青春映画としてなんら違和感が無い。テンポの良さも合わせて岡本監督のすごさが感じられる。
　ちなみにタイトルの”吶喊”は突撃するときの叫び声を意味すると聞いたが今回この日記にふさわしい画像を探そうとイメージ検索すると、ムンクの”叫び”があちこちでヒットした。あの絵、中国語では”吶喊”と呼ばれているんですかね。中国語よく分からないので確証はありませんが。