となり町戦争(ISBN:4087747409)

となり町戦争
三崎亜記

出版社 集英社
発売日 2005.01
価格  ¥ 1,470(¥ 1,400)
ISBN  4087747409

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 なかなか面白い設定。となり町と戦争状態になっていると広報で知らされる。それ以来、広報の人口増減欄には戦死者の数が合わせて掲載されるようになる。戦争を感じさせるのはその部分だけ、目の前でタマが飛び合うわけでも死者やけが人と接する機会があるわけでもない。しかし戦死者の数だけは確実に増えてくる。そんな名か主人公は町にとなり町偵察要員に任命され役場の戦争担当女性職員とこの戦争に関わることになる。しかしここでも”リアル”な戦争は出てこない。”リアルではない”戦争というと例えばゲームの様にモニターを通じた戦争が思い浮かぶがそうではない。戦争以外は皆リアルに書かれている戦争小説。うまく説明できないがそんな感じ。担当女性職員の淡々としたまさにお役所仕事がいかにもといった感じでいい。結末も淡々としており、せっかくの設定をもっと生かせるような書き方はないかなとも思ったが、むしろ淡々とした結末がこの小説にはふさわしいのかも知れない。