ザビエルとその弟子(ISBN:4062124637)

ザビエルとその弟子
加賀乙彦

出版社 講談社
発売日 2004.07
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4062124637

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 日本に初めてキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエル。但しこの小説では日本での布教活動を一旦終えポルトガル人のアジアでの活動拠点マラッカに戻り、鎖国状態にある明での布教活動の目指すが数々の試練が待ち受けていた。
 誰もがその名を知るザビエルの日本での活動ではなく彼の最晩年を描く。書名にもあるように随所にザビエルと弟子との会話(時には弟子同士が師ザビエルについて交わす会話)がはさまれる。いくつか交わされる中でもクライマックスは一番最後ザビエルと日本人ヤジロウとの会話。ザビエルの一途すぎて他を認めることを知らない布教活動。その正しさ真剣さを知りながら一図過ぎるがゆえに日本や明で布教活動がうまくいかないことを知り苦悩する弟子の思いが最後の会話でようやく師に伝わる。長編大作の多い著者の作品の中では短い部類に入る作品。情景描写はもちろん、師と弟子の会話も宗教家にふさわしく淡々と交わされながらそこににじみ出る強い思いが読む側にぐっと伝わってくる。