はるかなるわがラスカル(ISBN:4835441397)

はるかなるわがラスカル(fukkan.com)
スターリング・ノース著・亀山竜樹訳

出版社 ブッキング
発売日 2004.11
価格  ¥ 1,575(¥ 1,500)
ISBN  4835441397

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 言わずと知れた世界名作劇場で放映されていたアニメ”あらいぐまラスカル*1の原作本。復刊.comからのメルマガで紹介されていたのを見てつい手を出してみた。(と言っても相変わらず図書館から借りたものだけど。ついでに書いておくと図書館で借りたのはすでに絶版になっている小学館ライブラリー版)
 基本的にはアメリカの農村を舞台に11歳の少年スターリング・ノースが森で拾った赤ちゃんあらいぐまと過ごす一年間の物語。で、作者名を見ればわかるがこのスターリングと言うのは作者自身。つまり少年時代を描いた自伝的小説。この基本設定はかつて放映されていたアニメと変わらないが2点ばかり大きく設定が異なっておりそこに驚かされた。まずひとつは彼の母親の存在。アニメでは母親は入院しており確か話の途中で亡くなることになっていたかと思うが原作ではこの話の数年前に既に亡くなっている。
 もうひとつは戦争の存在。この話は1918年から1919年にかけての物語。つまり第一次世界大戦の真っ最中。確か同時期にはやったスペイン風邪についてはアニメの中でも言及されていたかと思うが戦争についてはまったく触れられていなかったように思う。(とはいえ再放送やビデオその他で確認したわけではなくあくまでも小学生時代に見た記憶が頼りなのであまり自信がないのだけれど)
 第一次世界大戦の主戦場はヨーロッパでアメリカ本国は直接戦場になったわけではないが、スターリングの兄がフランス戦線に出兵していたり、戦争のため収穫期に人手不足となり通常9月に始まる新学期が1ヶ月遅れになったりと戦争の影が物語の随所に顔を出す。と言っても戦争による暗い影が話の全体を覆っているわけでなくあくまでも少年の成長を追った物語。何年か前”本当は*****な物語”と言って子供向けの童話が本来どのような話なのか種明かしする類の本がはやったことがあった。そういった本のように特別に怖さや残酷さをあおるような本ではないがこの物語の時代背景には戦争があったということを知っただけでも手を出した価値があった。