南北朝の梟(ISBN:4532170052)
南北朝の梟 | |
童門冬二著 出版社 日本経済新聞社 発売日 1991.03 価格 ¥ 1,325(¥ 1,262) ISBN 4532170052 bk1で詳しく見る |
南北朝時代、南朝方の武将として活躍した北畠親房の半生を描いた小説。といいながら実は合戦シーンはほとんど出てこない。東国に下りその地域の豪族に南朝方につくよう説得する場面がただただ延々と続く。それでいて退屈させないのだからさすが。北畠親房は武将といいながら名門の出、公家に近い考え方で、信義を軽んじ報償の多少ですぐに寝返る豪族たちとなかなかそりが合わず説得に苦労する。読んでいて生真面目すぎる親房よりもむしろ豪族たちに親近感を覚える。
残念なのが最後、吉野に戻り”鬼のような活躍をする”とだけ書かれてその詳細が明らかにならないで終わっているところ。著者に言わせれば吉野に戻ってからの親房は自分の興味の範疇ではなかったのかも知れないがやはり武将モノなら合戦で活躍するシーンを読んでみたかった。