ニッポンのうた漂流記(ISBN:4309016596)

ニッポンのうた漂流記
飯塚恒雄著

出版社 河出書房新社
発売日 2004.09
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4309016596

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 1960年、日本コロムビア入社以降ディレクター、プロデューサーとして日本の音楽を見続けてきた筆者が語る日本歌謡史。
 一言でこの本の内容を説明するとこうなる。そこにはヒット曲や大歌手に隠されたエピソードなどが満載でなかなか面白いのだが僕が興味深かったのは随所に出てくる筆者の親会社に対する思い。
 勿論、メーカーの物作りだってそう単純なモノではないだろうが”レコード”あるいは”音楽”というモノは工業製品を作るように効率と原価計算だけやっていればいいモノではないという反発と、親会社から派遣される経営陣の無理解を示すエピソードが恨み節のように繰り返される。
 結局のところ日本コロムビアは2001年5月、日立から外資系投資会社リップルウッドに売却される。この本は1989年美空ひばりの死で筆をおいているので売却時の親会社との具体的なやりとりは出てこないんだけど書かないことでむしろ筆者の強い意志を感じる。後書きの最後には筆者の健康状態について少し語られている。会社や自分が携わった音楽に対する強い思いが語られたある意味で遺言とも言える本。