芸人女房伝/島崎恭子/集英社文庫(ISBN:4087493369)

芸人女房伝(集英社文庫)
島崎恭子著

出版社 集英社
発売日 1988.05
価格  ¥ 420(¥ 400)
ISBN  4087493369

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 タイトル通りだが上方芸人の女房のインタビュー集。初出雑誌発表が昭和61年から62年までなので少々古さを感じるかも知れないが、大阪を離れて何年もたつ僕にとっては丁度よかった。かえって今大阪で人気の方を対象にされてもきっと分からなかったろう。
 まずは登場する女房のリストを(掲載順・表記は書籍掲載通り)
桂米朝夫人・中川絹子
人生幸朗夫人・生恵幸子
藤山寛美夫人・稲垣峯子
桂枝雀夫人・前田志代子
横山ノック夫人・山田絵似子
横山やすし夫人・木村啓子
宮川大助夫人・宮川花子
岡八郎夫人・市岡久美子
笑福亭松鶴夫人・竹内寿
元正司怜児夫人・正司敏江
浜村淳夫人・塩浜茜
西川のりお夫人・北村順子
ぼんち・おさむ夫人・長瀬紋子
桂きん枝夫人・立入恵美子
月亭八方夫人・寺脇三千恵
桂朝丸夫人・関口真弓
桂小文枝夫人・長谷川君枝
露の五郎夫人・明田川紗英
 宮川花子さんのようなご自身も芸人であったり、少し前にその評伝を読んだ中川絹子さんのように積極的で明るい話が聞けるインタビューもある。だが多くの女房たちは夫の浮気に苦労している。唄の文句ではないが”芸のためなら女房も泣かす”という奴である。みな明るく気丈にインタビューに答えているがその行間に悔しさ、寂しさがにじみ出ているように思う。通常こういう類の本は女房のインタビューを通して夫の素顔、テレビや舞台では見られない裏側がのぞけるモノだが(勿論、この本でものぞけるんだけど)この本はそれに加えて妙坊の素顔もきちんと描けていると思う。後書きを読むと雑誌発表時には後6人の女房のインタビューも掲載されていたようだ。今となっては難しいと思うが出来れば完全版が読んでみたかった。