731
タイトルから想像できるとおり、第二次世界大戦中満州に存在した細菌戦部隊731を追ったノンフィクション。この部隊の責任者であった石井四郎直筆の手記が新発見される。この手記を元に731部隊の真実を追ったノンフィクション。
と言っても731部隊が戦時中どんなことをやったのかを追うノンフィクションではない。実は当時の国際条約にも違反する細菌兵器を使い又人体実験を行ったにもかかわらず石井四郎をはじめ彼らの大部分は戦後戦犯として裁かれていない。彼らの免責の裏にどんな取引があったのか。米ソの対立も含めて彼らが戦後どのように取り扱われたのかを様々な資料を基に明らかにしていく。その過程はなかなか興味深いし大変面白く読めた。ただ様々な史料を駆使し日米に残る数少ない生存者の貴重な証言を集めていくのだけれどこの本の一番最初でも取り上げられる石井四郎の直筆ノートは充分に生かせていないような気がする。勿論直筆でかつ略語を駆使したり人名を伏せながら書いているからうまく解読されていないのかも知れないがアメリカに残り公開請求し明らかになった資料で書かれているのが大部分で肝心の直筆手記はほとんど生かされていないような気がする。すごくもったいない。惜しすぎる。直筆ノート別の作家が解読する機会は残されているのだろうか。
四派の深夜 於 新宿末広亭
今回から始まった末広亭深夜寄席第2弾。会の名前にもある通り土曜日に開かれている落語協会若しくは落語芸術協会同じ協会二つ目四人による会ではなく
普段は末広亭に上がらない円楽党・立川流を合わせた四派二つ目による深夜寄席。初回と言うこともあってか開演前木戸口前には少し行列も。最終的には椅子席がほとんど埋まっていたかな。
・春風亭昇輔 反対俥
何でもこの会の言いだしっぺぇだそうで、これまでの経緯や会の趣旨などを話す。普段の深夜寄席は勉強会の意味合いもあるがこの会では受けるネタをやってもらいたいなんてことも。
で、本人の反対俥。初回にお客さんがたくさん入って感動しているようで元気なんだけどその元気がどうも空回りしているような気が。
・鈴々舎わか馬 欠伸指南
昇輔さんの空回り気味に元気な高座の後だけに余計に落ち着いた感じが目立って良い。でもって所々毒を吐く発言は相変わらず。
・立川談修 紙入れ
ここからは末広亭初体験組。マクラではやはりそのことに触れながら本編へ。言われてみれば確かに地震に触れた落語ってあまりないかも。
正直無難にまとめたかなという感じもしないではないんだけど普段末広亭に来ている人に談修さんの存在はアピールできたんじゃないかなぁ。
・三遊亭好二郎 風呂敷
こちらも末広亭初体験の好二郎さん。時間が押していたそうで(昇輔さんによる会の趣旨説明が長すぎたのが原因と思うが)あまりマクラは振らず本編へ。こちらも無難にまとまっていたかな。
この会は隔月1回だそうだが立川流と円楽党は二つ目の人数がそう多くないから次の高座すぐに回ってくると思うので次回はもう少し強く個性を出してもいいような気がする。(勿論談修さんも)