731

731
731
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青木冨喜子著
新潮社
ISBN:4103732059
価格:\1,785
(2005.8)
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 タイトルから想像できるとおり、第二次世界大戦満州に存在した細菌戦部隊731を追ったノンフィクション。この部隊の責任者であった石井四郎直筆の手記が新発見される。この手記を元に731部隊の真実を追ったノンフィクション。
 と言っても731部隊が戦時中どんなことをやったのかを追うノンフィクションではない。実は当時の国際条約にも違反する細菌兵器を使い又人体実験を行ったにもかかわらず石井四郎をはじめ彼らの大部分は戦後戦犯として裁かれていない。彼らの免責の裏にどんな取引があったのか。米ソの対立も含めて彼らが戦後どのように取り扱われたのかを様々な資料を基に明らかにしていく。その過程はなかなか興味深いし大変面白く読めた。ただ様々な史料を駆使し日米に残る数少ない生存者の貴重な証言を集めていくのだけれどこの本の一番最初でも取り上げられる石井四郎の直筆ノートは充分に生かせていないような気がする。勿論直筆でかつ略語を駆使したり人名を伏せながら書いているからうまく解読されていないのかも知れないがアメリカに残り公開請求し明らかになった資料で書かれているのが大部分で肝心の直筆手記はほとんど生かされていないような気がする。すごくもったいない。惜しすぎる。直筆ノート別の作家が解読する機会は残されているのだろうか。