女信長

女信長

　まさにタイトル通りなんだけど織田信長は実は女性だったと言う前提で薦められる小説。
そして彼（彼女）に絡んでくるのはおなじみ戦国武将たち。まず絡んでくるのは浅井長政なんだけどこちらは
ちょい役（といってもなかなか存在感のある役割なんだけど）。なんと言ってもメインは明智光秀。彼は西洋諸国の事情から最新戦術そしてそれを実現させる（当時の）ハイテク知識に秀でている。織田信長と言えばそれまでの因習にとらわれないと言うイメージと世界の事情にも通じたこの時代の最先端を行く人物というイメージがある。両イメージはもちろん本書でも採用されている。で、前者のイメージには彼（彼女）が女性であるという設定がうまく生かされている。そして時代の最先端を走っていたはずの信長に世界の事情・知識を与えていた彼（彼女）にとって欠くべからざる存在としての明智光秀。
　もちろん我々は信長と光秀の関係の最後に何が待っているかを知っている。知っているからこそクライマックスに向けて読む速度がどんどん上がってきた。この二人の間にうまく挟まっている御濃の存在感も良い。戦国もの時代小説が好きな方は是非手にとってもらいたい。