河畔に標なく
以前読んだ高野秀行氏の本の中に船戸与一氏のミャンマー取材旅行同行記とも言える作品があった。*1 *2
本作品はその取材旅行を元に書かれたもの。後書にこの地域をなんと呼べばよいのかと書いてあるとおり政治的に複雑な情勢でそれぞれの立場からストーリーに絡んでくる。と言ってもすべての登場人物が自分の所属団体に忠誠を尽くしているわけでもないので余計に話がこんがらがってくる。
集団では泣くそれぞれが個々人で(ただし場合によってはグループを組んで)行動しておりまた派手な戦闘シーンがあるわけではないんだがそれでいてぐいぐい読ませる。この本を読んだことでミャンマーのことを分かった気になるつもりはまったく無いがその複雑な状況によりいっそう興味を惹かれた。もちろん高野氏の著作とはまったく雰囲気が異なるが読んでよかった。