柳生雨月抄

柳生雨月抄
柳生雨月抄
posted with 簡単リンクくん at 2006. 6. 4
荒山徹
新潮社 (2006.4)
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ISBN:4104607029
価格:\1,890
 荒山徹氏の新作は毎度おなじみ豊臣から江戸初期に掛けての日本朝鮮間の剣と術を駆使した対決。本作品の主人公柳生友景。彼の母は柳生石舟斎宗厳の妹。で彼女が春日神社の神人に嫁いで生まれたのが友景。で彼が安倍晴明以来の伝統を受け継ぐ陰陽師幸徳井家の養子に出たものだから。
 柳生の剣と陰陽師の術を兼ね備えたスーパースターが誕生することになりました、と。しかも彼の主人は柳生でも江戸幕府でもなく天皇ってのがまた話がでかい。
荒山氏の初期の作品は朝鮮忍術と日本の忍術の対決など純粋に”荒唐無稽な”チャンバラごっこがメインでそれはそれで面白かったのだがここのところの作品はこの時代の歴史と伝奇を如何に絡ませるかに主題が移ってきているように思う。
その中で朝鮮側が如何に自分勝手で都合のいい歴史を作ろうとしているかそれを日本の(主に柳生が)阻止するかが対立のテーマになっている。昨今の歴史認識対立が影響しているのかどうか分からないがまぁ、娯楽小説にそんなテーマ性を考えなくてもいいのかな。
 ストーリー本編から離れるが術で使った虫や主人公を味方する女剣士の名前に遊びが見られる。僕はこういうの面白く感じる人だが。彼ら(彼女ら?)の名前が出てくる度に本編に関係ない方に考えが移ってしまうのでこういうだじゃれはなくてもよかったじゃないかなぁと感じることも。まぁ作者の遊びにいちいちとやかく言う必要はないですが。