つくられた卑弥呼〜<女>創出と国家

 いつも日記を読ませてもらっているt-kawaseが紹介していた本。*1実は同じ筆者の別の単行本を紹介していたのだが初めてこの方の本を手にするのであわせて書名の出ていた新書のほうに手を出す。
 我々が持つ”卑弥呼”のイメージといえば学校の教科書にも出ていたように”巫女”の役割を果たす祭祀専門であり実際の政治は彼女を補佐していた男弟が行っていたというもの。
 この”つくられた”卑弥呼のイメージに対して魏志倭人伝風土記日本書紀などを改めて読み直しこの時代女性が政治実務を担当していた可能性を明らかにしていく。
 読んでいてなかなか面白かったが、女性実務担当者がいたとしてもやはり少数派ではなかったのかなぁという印象は拭えない。
 現在我々が持つ卑弥呼や古代の女性に対するイメージは近代以降に形成されたと指摘する。この指摘が大変興味深いんだけどそれについての記述が本書ではあまり紙幅をさかれておらず残念。タイトルに興味を引かれたのはまさにこの部分なので不満が残る。義江氏のほかの著作を当たらないとだめなのかな。