千日紅の恋人 - chomoの日記

posted with 簡単リンクくん at 2005.10.26

帚木蓬生著
新潮社 (2005.8)
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　帚木蓬生さんと言えば、医療や歴史を取り上げた重厚な作品が多いが本作はうってかわった大人の恋愛小説。空山・空夜も恋愛小説と言えるが本作はもっと軽い感じ。主人公時子は38歳で×2、老人介護のパート勤めをしながら父親の残したアパートの管理人も勤める。このアパートの住民が皆一癖もふた癖もある人ばかり。但し本作品には問題のある人は出てくるが悪人は出てこない。恋愛以外にもいろんな事件・出来事が次々起こってついついページを繰る手も早くなるんだけど読み終わってみるとあっさりとした印象を受ける。
　重厚な作品を求めたとすればちょっと肩すかしを食らうかも知れないがそこは帚木蓬生さん。勿論退屈することなく一気に読ませてくれた。少し前BSブックレビューにゲスト出演した際、これまでと違う作品を書いてみたかったと述べていたがその試みは充分成功していると思う。でも次回作はもっと重厚な作品を読みたいと思ったのも本音ではあるんだけれど。