特命交渉人用地屋

特命交渉人用地屋
前田伸夫著
アスコム (2005.8)
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 成田空港建設のための用地買収に携わり、あの闘争の真っ最中政府側実務担当者として最前線で戦っていた方が明かす用地買収の裏側。
激しい闘争が続く一方で工事は少しずつ進み片肺空港と呼ばれながらも開港、運用進むにつれて、反対派のリーダーだった人たちが少しずつ用地買収交渉に応じてくる。交渉のための秘密会合が人目を避けるため著者の自宅で行われる。
 著者は成田空港の実情に満足し自らの功績を誇る為にこの本を記したのではない。むしろ反対で未だ完全開港が達成されず自らも左遷、妻の戦死など不満、鬱憤が執筆の動機になったかと思われる。
 内容は反対派との交渉や反対派が用地買収に応じるために付けた条件を実現するために奔走する姿が描かれているが不満の対象は反対派に向けられているのではなく内なる敵、公団職員他空港関係者に向けられている。但し公団職員他空港関係者への想いが充分に語られているとは言えない。後書きに予告されている続編に期待。しかし反対派住民と異なりほとんど実名がでていない公団職員他空港関係者は今頃続編の内容に戦々恐々としているのではないかな。