スペースシャトルの落日〜失われた24年間の真実

 なかなか興味深く面白い本でした。著者の言いたい結論は序章に記されている3点。

スペースシャトルは宇宙船として巨大な失敗作である。コンセプトから詳細設計に至るで(ママ)無理とムダの固まりだ。
シャトルの運航が続いた結果、宇宙開発に停滞した。
スペースシャトルに未来があるとだまされた世界各国は、シャトルに追従し、結果として宇宙開発の停滞に巻き込まれた。

 なかなか衝撃的な結論である。69年(アポロ月面着陸の年)に生まれた自分が持つ宇宙旅行のイメージで映画やテレビ漫画ではないリアルな宇宙と言えばスペースシャトルが占める割合は結構大きい。それがいきなり巨大な失敗作と結論づけられるのだから。
 こっちは物理なんて高校一年生であきらめた人間なのでスペースシャトルの機体構造が如何に問題が多いか丁寧に解説してくれるも余りよく理解できず。それでも問題だらけであることくらいは分かった。
 もっと問題を深刻にさせるのはいろいろな技術的問題があったにも関わらず”大人の事情”でスペースシャトル計画を中止できなかったこと。またアポロ計画の成功もあってヨーロッパや日本の宇宙飛行計画に大きな影響を与えたこと。
まぁ、こういう類の本にはありがちの日本の意志決定の遅さとアメリカ追従の政策が批判される訳だが日本の宇宙政策に対する問題は同じ著者の”国産ロケットはなぜ墜ちるのか”*1を読んでみる必要がありそう。