米朝対立〜核危機の十年

米朝対立
米朝対立
ISBN:4532164826
価格:\2,310
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春原剛
日本経済新聞社 (2004.9)
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 1992年1月ニューヨークで開かれたカンター国務次官と金容淳朝鮮労働党書記との米朝高官協議から、2003年8月の第一回六カ国協議までの米朝交渉の過程を主にアメリカ側その時々の交渉の最前線にたった高官達の証言を元に再現する。書名は”対立”とあるが、北朝鮮の巧みな外交政策に翻弄させられながらなんとか交渉の糸口をつかもうと四苦八苦する”中間管理職”(著者の後書きより)の苦労が偲ばれる。
 と言っても話はそう単純ではない。大統領はブッシュシニア、クリントンブッシュジュニアの3代にわたる訳だが当然、民主党政権共和党政権で北朝鮮に対する対応は大きく異なる。同政権内でも国務省国防省では考え方が異なる。当然個々の高官個人レベルにまで下がっても同じ。
 米朝の交渉過程よりむしろ交渉前の米国政府内部の対立と一致点を見いだす過程が面白い。
 いかんせん100人を超える高官達へのインタビューがなされているので時々人物やそれぞれの人の立場がごっちゃになって読んでいて混乱してしまいましたがそれは僕個人の基礎知識の無さが原因。以前重村智計氏の著作”北朝鮮の外交戦略”を読んだ際*1北朝鮮の”振り子外交”の巧みさとそれに翻弄される日本政府の姿を知り情けない気持ちになったが、アメリカも同じように翻弄されていたのを知りちょっとほっとした気分。<勿論本当はほっとするだけではいけないんですが。