とっても不幸な幸運

若だんなシリーズで人気の畠中恵さんの新作は以前読んだ百万の手*1に続いて現代を舞台とした作品としては2作目。新宿伊勢丹そばにあるという”酒場”という人をくったような名前のお店が舞台。近くの百円ショップに売っていると言う”とっても不幸な幸運”と書かれた空き缶の封を切ると必ず何か事件が起こる。短編連作になっており全部で6編(に加えて序章と終章)が収録されている。
 時代物でも現代ものでもそうなのだが、この方の作品は一言で言うと”よぉ、でけた話やなぁ”という感じ。この言葉をひっくり返すと”作り物感”が強く感じられると言うこと。百万の手の感想でも書いたが少しご都合主義が感じられる。本作は百万の手に比べるとそのご都合主義への違和感は小さかったが。やはりこの方が書く”物語”はリアルを感じさせる現代劇より時代物のほうが似合っているように思う。