落語裏ばなし〜寄席文字にかけた六十年

 落語を聞くだけでなくご自身でも寄席文字や踊りをされたり落語会を企画されたりと活躍されているうるうさんのサイト”古今東西*1で紹介されていた本。3部構成になっており各章題を列記すると
噺家裏おもて
・楽屋噺
寄席文字一代 となっている。
 1部、2部に書かれた昔の噺家さんや楽屋のうわさ話やエピソードも大変面白く興味深いのだが、第3部の寄席文字の噺や集古庵の名で知られる昔の落語界関連グッズ収集の話に割かれたページが少なく少々不満が残る。昔の思い出話や自分が接した噺家さんのエピソードは積極的に話をし書かれたんだろうがご自身の話にはテレもあったのかも知れない。
 第一部は執筆時(奥付によると刊行は昭和50年6月)既に故人となっていた噺家さんのエピソードが収録されておりその一番最初に古今亭志ん生の名前が挙げられている。ここで驚かされるのだがまず最初の一文が

 古今亭志ん朝さんが、親父さんの志ん生の名前を襲名することになりました。
なんでも、再来年の紅葉時分にはあの”志ん生”復活とか。(後略)

 この襲名は実現せず志ん朝はその名前のままで先年お亡くなりになったわけだがこの本が書かれた昭和50年頃そういう話があったのでしょうか。もしあったのならどういったわけで実現しなかったのでしょう。この辺りの事情ご存じの方がいらっしゃいましたら是非ご教示ください。